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中世ロマネスクとゴシックの彫刻

今日は、中世ヨーロッパのロマネスク時代、それに続くゴシック時代の彫刻の比較をしたいと思います。

まず、中世ロマネスク時代とは、1000~1200年頃に、フランス、北イタリア、北スペイン、イギリス、ドイツ、ライン川流域に流行した美術様式です。

この頃、キリスト教の巡礼がさかんに展開され、各地域は人々の交流とともに栄え、大聖堂がたくさん建てられるようになりました。大聖堂は、知識・技術・芸術の集大成として壮大となり、彫刻はその装飾的役割を担いました。故に、入り口正面を飾ったりするなどの浮彫彫刻がつくられ、「枠組みの法則」という、建築物の枠ないで、デフォルメされた形のものができあがりました。また、「空間恐怖」も特徴的で、対象を装飾で埋め尽くしていたことが挙げられます。当時の人々は彫刻には魔力が宿るとされ、その肉体的表現よりも、精神的表現に重きをおいていたことが伺われます。

ゴシック時代になると、「12世紀のルネサンス」と呼ばれる文芸復興を背景に、彫刻にも変化が見られます。ギリシアの古代彫刻にみられる《濡れた襞衣》のようなドレ―パリー表現、自然主義的表現がされるようになり、彫刻自体も次第に枠から自立して立っているようになります。この頃、スコラ学がさかんになり、信仰の探究は芸術にも反映します。旧約聖書を、新約聖書の予型型「タイポロジー」であるとして、彫刻を含めた芸術たちはそのキリスト教教義を人々へ教えるための役目も担います。そのため、モチーフはキリストの教え、聖母マリアなどになっていきます。

そしてやがて時代が進むにつれ、彫刻は建築とは独立したものとなっていくのです。

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