nail、始まりは、中学生の頃、興味本位でマニキュアを塗ってみたこと。大人っぽさを演出したくて暗めのグレーを塗って、登校してみた。そしたら、すぐ親友に「さっちゃん、学校で禁止されてるんだからダメだよ。」と、真っ当な忠告をいただいた。「そうだよね。」という感情と、「これくらい親友なんだからわかってくれてもいいじゃん。」という感情で葛藤した記憶が鮮明にあるのとともに、「なんでこんな汚い色でこんな気持ちになるんだ!」と、その色に対してのある種憤慨みたいなものを覚えたことが、私のnailとの初対面。
あの時から、色は大きな効果があるのだな、という仮定は私に付きまとった。色が感情に作用するという仮定。似合う・似合わない、快・不快という仮定。nailは良くも悪くも、私に体験を与えてくれた。
今、ここではnailと言うと、私はnailサロンでnailをすること、その成果物を指すこととする。世の中自分でセルフマニキュア、セルフジェルネイル、などあるけれど、それは今はここでは対象外として扱わない。
nailの一連の流れはこうである。
- 爪の形や長さ、色やデザインなどを伺う。
- その日の気分や最近のムードを伺う。
- 1か月間の予定を伺い、最終的に大枠のデザインを決める。
- 細部のデザインの調整をする。
- 仕上げ。
お客様からするとこうだろう。
- サロンを予約する。
- デザインを考えながら足を運ぶ。
- 長さや形を伝える。
- 色やデザインをネイリストと相談しながら決める。
- 最近あったことなどの雑談。
- 細部のデザインの相談。
- 出来上がり。
ここで気づくのは、お客様は予約して、足を運ぶという時間的・空間的動作を行っている点である。帰ることも含めると、一連の動作がループするような感覚である。
また、お客様は「受け手」として来客する。ネイルサロンとネイリストのパフォーマンスを期待しながら、「デザイン」と「空間」そして「時間」を共有する。